定年帰農その8:森の聖霊と過ごした2週間(2)
以前執筆依頼があったということで紹介した連載コラムについては、1~7回目のものを当BLOGの記事にしてきました。ここでは10月号分を掲載します。
以下月刊ふるさとネットワーク2014/10からの転載
タイトル:定年帰農生活はまるでテーマパーク
8:森の聖霊と過ごした2週間(2)先月の続き

保護してから10日ほど経ったある日、垂れ下がっていた翼も元に戻りつつあるということで、小屋から出して外に置いてみた。するとスーッと地面スレスレのところを飛ぶことができた。ちょっと一休みしてからからもう一度、何メートルか飛んで物干し竿まで上がって止まり、今度はそこから動かずに「どうすりゃいいの?」という感じでこちらの方を見ている。どうやら、飛べはするもののまだ本調子ではない様子。そこで抱えておろして再び小屋に入れた。
こうなると、心の中では葛藤が始まる。自分の翼で飛んで自然に戻れる可能性が出てきたことはうれしいが、この不思議な愛らしい生き物と別れる時期が近付いたという寂しさもあり、そのせめぎあいである。それから2~3日後、もう一度小屋から出してみた。今度は垣根を越えて隣の家の向こう側の森まで百メートルほど一気に飛んでいってしまった。覚悟はしていたものの、いなくなってしまうとは思いたくなかった我々は、慌てて軽トラに飛び乗って追いかけた。もう一度木にとまっている姿をみることはできたが、ついに森の中に消えていってしまった。過ぎてしまうと2週間はあっという間だった。
農閑期だったからどこかに旅行にでも行こうと思っていたのだが、この騒ぎの中で機会を逸してしまった。しかし、なんだかとても貴重で替えがたい時間であったと今でも思うのである。命を助けて貰ったんだから時々は顔くらい見せればいいのに、などとよく話題にはなるが、その後このフクロウ君との再会は果たせていない。しかし、山で鳴いている声はよく聞こえてくる。
同じ2013年の9月ごろのこと、ちょっと驚かされたことがあった。フクロウの鳴き声は春の繁殖期のものだと思っていたが、その頃ときどき聞こえていたのである。ある日、山の真下まで近づいて鳴き声を聞いていると、どうも2羽分の声なのである。最初の方は普通に鳴いている声だが、追いかけるように鳴く声は明らかにたどたどしい。どう考えても親が巣立ったばかりの子供に教えている感じ、そんなやり取りが何度も続く。やがてしびれを切らしたのか、親はワンセンテンスずつ区切って復唱させている。その親フクロウがうちにいたものかどうかの確証はなかったけれど、彼が山に帰って子供を育て、こうやって鳴き方も教えているに違いない、との思いが次第に強くなったのであった。
(注)この親子のやり取りは、BLOGの「フクロウの鳴き声教育(解説・分析編)」で聞くことができます。
この記事は田舎暮らしの総合情報誌「月刊ふるさと
ネットワーク」のコラムとして掲載されたものです。
この本は、田舎暮らし向け物件を扱う「ふるさと
情報館」が発行しているもので、全国の物件情報や、
田舎暮らしに関連する色々な話題が掲載されています。
将来の田舎暮らしを目指す方には役に立つ情報誌だと
思います。書店では販売しておらず、年間購読の
会員誌となっています。下記で無料の見本誌を入手
できます。
電話:03-3351-5601(ふるさと情報館・代表)
HP:http://www.furusato-net.co.jp
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投稿依頼が舞い込んだ
定年帰農生活はまるでテーマパーク(1)春の訪れ
定年帰農生活はまるでテーマパーク(2)田舎を作ろう
定年帰農生活はまるでテーマパーク(3)街と田舎を往復する二重生活
定年帰農その4:田舎暮らしの醍醐味の一つ:米作り
定年帰農その5:農業従事者になる(農地取得)
定年帰農その6:害獣との戦い
定年帰農その7:森の聖霊と過ごした2週間(1)
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以下月刊ふるさとネットワーク2014/10からの転載
タイトル:定年帰農生活はまるでテーマパーク
8:森の聖霊と過ごした2週間(2)先月の続き

保護してから10日ほど経ったある日、垂れ下がっていた翼も元に戻りつつあるということで、小屋から出して外に置いてみた。するとスーッと地面スレスレのところを飛ぶことができた。ちょっと一休みしてからからもう一度、何メートルか飛んで物干し竿まで上がって止まり、今度はそこから動かずに「どうすりゃいいの?」という感じでこちらの方を見ている。どうやら、飛べはするもののまだ本調子ではない様子。そこで抱えておろして再び小屋に入れた。
こうなると、心の中では葛藤が始まる。自分の翼で飛んで自然に戻れる可能性が出てきたことはうれしいが、この不思議な愛らしい生き物と別れる時期が近付いたという寂しさもあり、そのせめぎあいである。それから2~3日後、もう一度小屋から出してみた。今度は垣根を越えて隣の家の向こう側の森まで百メートルほど一気に飛んでいってしまった。覚悟はしていたものの、いなくなってしまうとは思いたくなかった我々は、慌てて軽トラに飛び乗って追いかけた。もう一度木にとまっている姿をみることはできたが、ついに森の中に消えていってしまった。過ぎてしまうと2週間はあっという間だった。
農閑期だったからどこかに旅行にでも行こうと思っていたのだが、この騒ぎの中で機会を逸してしまった。しかし、なんだかとても貴重で替えがたい時間であったと今でも思うのである。命を助けて貰ったんだから時々は顔くらい見せればいいのに、などとよく話題にはなるが、その後このフクロウ君との再会は果たせていない。しかし、山で鳴いている声はよく聞こえてくる。
同じ2013年の9月ごろのこと、ちょっと驚かされたことがあった。フクロウの鳴き声は春の繁殖期のものだと思っていたが、その頃ときどき聞こえていたのである。ある日、山の真下まで近づいて鳴き声を聞いていると、どうも2羽分の声なのである。最初の方は普通に鳴いている声だが、追いかけるように鳴く声は明らかにたどたどしい。どう考えても親が巣立ったばかりの子供に教えている感じ、そんなやり取りが何度も続く。やがてしびれを切らしたのか、親はワンセンテンスずつ区切って復唱させている。その親フクロウがうちにいたものかどうかの確証はなかったけれど、彼が山に帰って子供を育て、こうやって鳴き方も教えているに違いない、との思いが次第に強くなったのであった。
(注)この親子のやり取りは、BLOGの「フクロウの鳴き声教育(解説・分析編)」で聞くことができます。
この記事は田舎暮らしの総合情報誌「月刊ふるさと
ネットワーク」のコラムとして掲載されたものです。
この本は、田舎暮らし向け物件を扱う「ふるさと
情報館」が発行しているもので、全国の物件情報や、
田舎暮らしに関連する色々な話題が掲載されています。
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定年帰農生活はまるでテーマパーク(3)街と田舎を往復する二重生活
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定年帰農その5:農業従事者になる(農地取得)
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定年帰農その7:森の聖霊と過ごした2週間(1)


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このBLOGは昨年末で更新中止として別のブログに移行したので気付くの遅れました。
私のNexus9はブラックです
家のテーブルでのメインとルーキーファーマーついにNEXUS9が届いた私も同様の組み合わせです。私もやっとnexus9 (ルナホワイト)を手にしました。
キーボードもK480(ブラック)です。
ルーキーファーマーさんの9はインディゴブラックですか?
nexus7(2012)が激@techy9冬タイヤに交換No titleたびいくひとさん、コメントありがとうございます。
房総で冬タイヤが必要かどうかについては、一概には言えないです。うちのあたりは房総でも南の方ですが、山に囲まれてルーキーファーマー冬タイヤに交換冬タイヤおはようございます。
房総でもやはり冬タイヤは必要なんですね。
関東地区の人は、夏タイヤだけで、雪が降ると運転しないのかと想像していました。
調べてみると、こちたびいくひとingressの続きNo titleイチョウ並木です。
ここは日本大通りという、横浜のイチョウの名所です。
平日なのに人出はすごかったです。
北海道とこちらでは1か月くらい違うようですね。ルーキーファーマーちょっと悪そうな鳥の大群来襲甲斐犬自炊さん、こんにちは
普通の犬だと返り討ちにあうらしいですが、
甲斐犬は頼りになると思っていました。
もともと犬は好きなので飼いたいと思いますが、
毎週千葉と横ルーキーファーマーingressの続きNo titleおはようございます。
写真の黄色はイチョウでしょうか?
北海道は10月22日にはイチョウが黄色くなりその後落葉しました。地域の季節差が表れます。
参照(私のブロたびいくひとちょっと悪そうな鳥の大群来襲獣害この記事だけでなく、獣害には多大なる労力を払っていらっしゃる事、かねがね、読ませて戴いています。
さて、下記の「房総半島の景観」の記事で、
http://blog.goo.ne自炊さんちょっと悪そうな鳥の大群来襲がんばれ日本の農業おはようございます。
自分はたかだか100坪ほどの畑と格闘していて、雑草に負けそうになっています。
サラリーマンをやめて専従農業者になるには相当の覚悟が必要だったびいくひと暗渠を掘り始めるNo titleたびいくひとさん、
ようこそおいでくださいました。
確かに草には追われますね。
でもようやく一段落。
こちらの冬は、一応仕事もできるので
やりたいことが山積みでルーキーファーマー暗渠を掘り始めるNo title福平さん、いつもアドバイスありがとうございます
今回は調べながらやっていますが、忘れないようにやってみます。ルーキーファーマー暗渠を掘り始めるNo titleこんばんは。初めまして。
農村生活にあこがれる人は多いですが、実際は自分のように100坪の畑でも草取りに追われて参っています。
週末農業を経験しての専業農家は、たびいくひと暗渠を掘り始める>一番下の流出口ここの升に止水板つけるの、忘れないでね。副平脱穀・終了Thank You!稲刈りのことを説明してくださって、ありがとうございます。とても面白くて、複雑そうです。過程について聞くのは初めてでしたから、今度生活の話を読めるのを楽しみにしてTori雑誌の取材が進行中No titlekeizさんもトーマスの父さんも、
どうも、お付き合いありがとうございます。
まだまだ当分続けるつもりなので
よろしくお願いします。雑誌の取材が進行中No title右に同じです。
熟読しているか記憶にあるかは別として、基本的には全て拝見させて頂いています。トーマスの父雑誌の取材が進行中No title内容を忘れてしまった箇所もありますが、一応、全部の記事を読んでおります。ブックマークで、いつも見るところの一つに入っております。Keizたまには映画でもみるか!No title意外に忙しいのかもしれません。
旅行から金曜の22時半過ぎに帰宅し、その30分後には
家を出て農場に向かいました。
農場到着はちょうど日が替わるころ。
次の朝、たまには映画でもみるか!No title旅行前夜のレイトショーとはパワフルですね。
深夜の巨大SCというのは静か過ぎてなんか怖そうです。
今日はちょっとららぽーとに遊びに行く予定です。トーマスの父芋の収穫・続きNo title豊田さん、ご無沙汰していました。
安納こがねというのですね、なるほど。
4割ほど掘った中に2株ありました。
食べ比べとかしてみようと思います。
去年が良すぎたルーキーファーマー